2021.02.09
ユマニチュード
はじめに・・😊
西歯科では、訪問診療の際に認知症の方と触れ合う機会があるのですが、
お口を触られることを、嫌がられることがあります。
触る前に、今から行うことを説明し、ゆっくりと触ろうと心掛けているのですが
いざ始めると首を横に振ったり、お口をキュッと噤んだまま開けてくれなかったりと、
訪問診療を始めたばかりの頃は、いかにしてお口を触れるか、きれいにできるか、
ということばかりを考えていました。
そこで、取り入れたのがユマニチュードのケア技法です。
結論から言うと、どんなに声掛けを行ってもあんなに嫌がっていた方が、
自ら開けてくれるようになりました☺
ユマニチュードとは・・・?🧐
まず、「ケア」聞くと、ケアを受ける側(認知症の方や要介護の方)が、
ケアをする側(介護士や、家族)に食事介助をしてもらったり、身体介助をしてもらうような光景が思い浮かびますが、
ユマニチュードのケア技法は、全く違います。
4つの柱、5つのステップにより、ケアをする相手を尊重し、
「私は、あなたのことをとても大切に思っていますよ」というメッセージを
伝えるということに重きを置いています。
4つの柱😽
①見る・・・・正面から、近く、水平に、長く、見る。
このように見ることで、
正直であること、平等な立場であること、親密な関係にあることを相手に伝えています。
②話す・・・・穏やかで前向きな言葉を選び、ゆっくりと、低めの声で抑揚をつけながら話します。
返事がなくとも、自分の動きを言葉にし続ける「オートフィードバック」の技術を使うと、介護の場に言葉をあふれさせることができます。
③触れる・・・・相手に触れるときは触れる面積を広くして下から支えるようにします。
触れる手は相手に様々なメッセージを伝えています。
④立つ・・・・1日20分立つ時間を作れば生涯立つ力を保つことができ、寝たきりを防げます。
20分連続で立つ必要はなく、着替えやトイレなど1日の合計が20分以上になることが目標です。
5つのステップ😸
①出会いの準備
ケアをする前、部屋に入るときは必ずノックをして返事を待ちます。
ご本人のプライベートな空間に入るための承認を得るためです。
3回ノックをし、3秒待ちます。ドア以外のふすまや障子でも同じです。
②ケアの準備
いきなりケアの話はせずに、まず会えて嬉しいという気持ちを伝えます。
この時に、先ほどの4つの柱、「見る」「話す」「触れる」技術を存分に使います。
③知覚の連結
「見る」「話す」で「あなたのことを大切に思っています」と伝えても、
「触れる」で相手の腕をつかんでしまうと「あなたの自由を奪います」という
逆のメッセージになってしまいます。自分が発するメッセージは全て
「あなたのことを大切に思っています」と伝えるものになるように心がけます。
④感情の固定
ケアが終わった後は、今行ったケアがとても心地よかったことを相手の記憶に残すため、「ともに過ごしたいい時間を振り返ります」
細かいことは覚えていなくても、「とてもよかった、楽しかった」という感情に関する記憶は本人が最も覚えてくれる記憶です。
この「感情の固定」により次のケアを受け入れてもらえる可能性が高まります。
⑤再会の約束
誰かと良い時間を過ごした後は、「次はいつ会えるかな」と次の機会を心待ちにしています。
次の出会いをより良く迎えてもらうために、再会の約束をします。
ユマニチュード2020年カレンダー 著者イヴ・ジネスト ロゼット・マレスコッティ 本田美和子 誠文堂新光社発行
この、ユマニチュードのケア技法は一切難しいことはなく、
まず目を合わせ、正面に回り「こんにちは☺今日も会えて嬉しいです😊今日は顔色がとてもいいですね😃」などと声かけを行いながら、肩や手に軽く触れる、
それからケアに入る際も同じように目を合わせ、正面に回り、手を握りながら「まず、入れ歯を外します😊綺麗さっぱり洗ってスッキリしましょうね😃」などと声かけを行い相手の頷きや返事を待ってから、ケアに入る、
ブラッシングを行っている際も、「まずは右を磨きますね😃このブラシは柔らかいので気持ちがいいですよね😊次に前歯に行きますね」などと自分の行動を言葉にしながら、ポジティブな言葉をたくさん発しています。
このようにケアを行うだけで、患者さんの反応は全然違います🙋
まだまだユマニチュードに関しては勉強中で、
今度は3月に、「ユマニチュード入門研修」に参加してきます。
この研修は、ユマニチュードの生みの親、フランスのイヴ・ジネスト氏の監修で、オンラインで研修に挨拶にみえるのでとても楽しみにしております😃
ユマニチュードのケア技法がもっと世の中に広まり、
ケアをする側もされる側も、ケアの時間が少しでも楽しくなり
尚且つケアを受けた側に劇的な変化が生じることを願っています☺